ゲーム情報学
- 伊藤毅志
- 専門は複雑な問題解決における人間の思考過程の研究
- 人間の熟達化に伴う「直観」のメカニズムの研究
- 人間らしい思考過程を模倣する人工知能の研究
- 人間とコンピュータの円滑なコミュニケーションを実現する研究
イントロダクション
- 私たちの考えるゲームとは?
- ゲームとは何か?
- ゲームの定義
- ヴィトゲンシュタイン
- 言語活動をゲームと捉えた
- 言語もゲームも自然発生的に生まれる、ルールがある
- 全てのゲームに共通する概念というものはないが、ゲームは他のゲームと似た要素を互いに持っている
- ゲームの拡張性
- 「遊び」→遊びから派生、ルールは後付け
- カイヨワ
- 自由な活動 遊戯者が強制されない
- 隔離された活動 予め決められた時間や空間の範囲内に制限される
- サッカーであれば制限時間、フィールド
- 未確定の活動 ゲームの展開が決定されていない
- 演劇との違い
- 非生産的な活動 財産や富を生産しない
- ルールを持った活動 約束事にしたがって行動する
- 虚構の活動 日常生活とは乖離した非現実の行動
- ヴィトゲンシュタイン
- 情報学的定義
- プレイヤーがいる
- ルールがある
- 目的(目標)がある
- 検証
- じゃんけん
- プレイヤー
- 何人でも可
- ルール
- 手の形、同時性、勝敗ルール
- 最初はグー、で同時性を高めた
- ロボットが人間の手の形を判別し、肉眼で認識できない速度で後出し
- テクノロジーによってゲームのルールが変わる
- 目標
- 勝敗の決定
- プレイヤー
- どうぶつの森はゲームか?
- 明確な目的はない
- じゃんけん
- ゲームの定義
- なぜ、私たちはここに集まったか?
- ゲームを研究するとは?
- ゲームを客観的に捉える
- ゲームをプレイするAIの世界
- ゲームを科学的に捉える
ゲームと問題解決
- ゲームをプレーする人間の行動を情報学的に捉える
- ゲームにおける人間の行動
- どうやってゲームをしているか
- 認知科学的、人工知能的に眺めてみる
- 人間の行動は「問題解決」として捉える
- お腹が空く
- 何を食べるか?
- 何を作る?冷蔵庫の中身は?
- 空腹から空腹でない状態にするための問題解決
- 遅刻しそう
- どうやったら早く目的地に着けるか?
- 言い訳をどうするか?
- 遅刻のデメリットを最小化するための行動
- お腹が空く
- ゲームとは
- ゲームという「場」を形成
- ルールがある→プレイヤーの行動を規制
- 現在の状況を目標状態に近づけようとする
- プレイが生じる
- ゲームにおけるルールとは
- 三目並べ
- フィールドと道具
- 3×3のマスを使う、先手は○、後手は×を使う
- ゲームの進行
- 二人で、先手、後手、交互にプレーする
- 合法手、禁じ手
- 合法手:自分の手番では自分の記号をマス目に書く
- 禁じ手:相手の記号を消す、パスをするなど
- 勝利条件、目的
- 縦・横・斜め、いずれか先に自分の記号を3つ並べれば勝ち
- フィールドと道具
- 三目並べ
- ゲームプレイは人の問題解決過程
- 問題状況が与えられると人は解決しようとする
- パズル(一人ゲーム)の問題状況で考えてみる
- ハノイの塔
- 道具とフィールド
- 3本のペグとN枚の大きさの異なる円盤
- ゲームの進行
- 1枚ずつ一番上の円盤をペグからペグに移動する
- 合法手・禁じ手
- 小さいディスクの上に大きいディスクを載せてはならない
- 終了状態・目標
- すべての円盤を左のペグから右のペグに移動する
- 目標状態への近さを評価値で表現
- 円盤が目標状態のペグに移動する≒目標状態に近づく
- 評価値が大きくなるように移動する
- 副目標を設定する
- 副目標攻略
- 中国のお茶会
- ハノイの塔と同じ構造
- コンピュータに解かせると同じ表現だが、人間には難しく感じる
- 概念や風習のイメージ
- 表現を変えると理解ができたりする
- 道具とフィールド
- どうやって問題を理解し分析し解放を見つけ回答するか
- このような行動をどうやって学習するのか
- ゲームはこれらを調べるのに好材料
- 問題状況が与えられると人は解決しようとする
ゲームの科学的分類
- ゲームを数学的(構造的)に分類
- プレー人数による分類
- 0人ゲーム
- プレーする人が関与しないゲーム
- ライフゲーム、環境シミュレーション
- プレーする人が関与しないゲーム
- 1人ゲーム
- 1人でプレーするゲーム
- パズル、クイズ、詰将棋、1人用TVゲームなど
- 答えを探す、高得点を目指す
- 倉庫番、数独、ハノイの塔、シューティングゲーム、落ちゲー
- 2人ゲーム
- 2人あるいは2チームでプレーするゲーム
- 囲碁、将棋、チェス、オセロ、バックギャモン、対戦型格闘ゲーム、卓球、野球、サッカーなど
- 3人以上のゲーム
- ダイヤモンドゲーム(3人)、最中限(3人)、麻雀(4人)、四人将棋(4人)、ネットゲーム、多人数トランプゲーム
- 3人ゲームは2人が結託する場合があってゲームバランスが難しい
- ダイアモンドゲームはよくできている
- 0人ゲーム
- 情報の完全性
- 完全情報ゲーム
- どの手番においても、そこで手番を持つプレイヤーがそれまでの履歴を完全に把握できる
- 囲碁、将棋、ダイヤモンドゲームなど
- 不完全情報ゲーム
- それまでの履歴(相手の手番の選択など)が完全に辿れない
- ほとんどのカードゲーム、軍人将棋など
- 完全情報ゲーム
- ゲームの不確定性
- 確定ゲーム
- 確率的に不確定な要素が含まれない
- 囲碁、将棋、オセロなど
- 不(非)確定ゲーム
- サイコロや乱数などの確定的でない要素を含む
- バックギャモン、人生ゲーム、スロットマシン、多くのスポーツなど
- 確定ゲーム
- ゼロ和ゲームか?
- ゼロ和ゲーム
- 勝ちを1、負けを−1、引き分けを0などとして、全プレーヤーの数値の合計が0になる
- 囲碁、将棋など。麻雀の点数も合計0になる。
- 基本的にほとんどのゲームはゼロ和ゲーム
- 非ゼロ和ゲーム
- 対人関係や国際関係。社会的関係はほとんどが非ゼロ和ゲーム
- 囚人のジレンマなど
- 自分の利得は裏切った方が高く、全体の利得は協調の方が高い
- ゼロ和ゲーム
- 有限ゲームか?
- 有限ゲーム
- 終了することが保証されている
- 終了するようにルールを改正している
- 将棋(千日手、持将棋)、囲碁(コウ)など
- オセロ、多くのトランプゲーム
- 無限ゲーム
- 終了することが保証されていない
- 終了条件のないシミュレーションゲーム、ライフゲーム
- 有限ゲーム
思考ゲーム研究の歴史
- 思考研究
- 思考心理学、認知科学
- 20世紀初頭 ヴュルツブルク学派
- 内観法(訓練された内観報告者による内観報告)
- 1950年代頃 行動主義心理学
- 実験心理学
- 人間はブラックボックスと捉え、実験室状況で刺激を与え、反応を見る
- 再現性に疑義を呈する人達もいるが、低次な反応に関してはかなり正確であることが分かっている
- 1955年前後 認知科学研究の台頭
- 思考の研究(Brunerら、1956)
- 記憶の研究「マジカルナンバー7±2」(Miller, 1956)
- 言語構造のモデル「生成文法」(Chomsky, 1955)
- 人間の思考を「情報処理」として捉えようとする動き
- 発話プロトコル
- 思考のモデル化
- コンピュータの影響
- 認知モデルを立てて人間の思考過程を理解しようとする
- Newell & Simon(1972)
- 問題解決空間という概念で問題解決を捉える
- 初期状態、目標状態、操作子を明確にする
- GPS(General Problem Solber)
- 手段目標方略
- 副目標設定方略
- 人間の問題解決の過程を説明するモデル
- 人工知能の動機→ゲーム研究
- 人間の知的作業をコンピュータに行わせたいという欲求
- 言葉を理解させたい
- 自然言語処理(言語理解、自動翻訳)
- 映像を理解させたい
- 画像処理技術(画像認識、視覚のモデル)
- 知的ゲームをさせたい
- ゲーム情報技術(チェスの研究など)
- ゲームは人工知能(認知科学)研究の宝庫
- 研究の題材として扱いやすい
- 馴染みやすく、被験者も集めやすい
- ルールが明確で、コンピュータに載せやすい
- 改良が勝敗(強さ)に直結する
- 以前のものより良いかどうかは対決させれば分かる
- プレーヤーが多いと強さを計る尺度がある(段級、レーティング)
- 人工知能や認知科学の様々なエッセンスを含む
- 探索 情報探索、推論システム、最適化技術
- 知識ベース データベース、知識モデル
- 学習 機械学習、学習理論
- その他 理解、問題解決、思考、教育
- 古くからゲームを題材とした研究は行われてきた
- 欧米でチェスは知性の象徴
- 強いゲームプログラムを作ること≒知的なシステムを構築すること
-
チェスは人工知能研究のミバエである
- 1770年ハンガリーのヴォルフガング・フォン・ケンペレン『トルコ人』
- 1820年に見破られるまで50年間秘密が守られた
- 人工知能黎明期の研究者
- チューリング、ノイマン、シャノン
- シャノン「チェスプレーのためのコンピュータプログラミング」
- 2つのアプローチ
- TypeA: 全幅探索
- ゲームの全ての可能性をしらみつぶしに探索する手法
- コンピュータとの相性が良い
- TypeB: 選択的探索
- 可能性のある手だけを深く探索する手法
- 人間がやってるのはこれ
- TypeA: 全幅探索
- チェス以外の主な思考ゲーム研究の歴史
- チェッカー
- 1950年代 IBM研究者サミュエル(遺伝的アルゴリズム)
- 1992年 シェーファーらChinook
- 42年間5敗だけのティンズレーに2回勝利(探索型アルゴリズム)
- 2007年 完全解発見
- オセロ
- 1975年頃 アメリカで初のリバーシプログラム(チェスの探索手法を用いる)
- 1980年代 森田オセロ、Paul Rosenbloom作のIAGOなど
- 1990年代 リーら「BILL」(自動的に静的評価関数を学習)
- 1997年 Michael Buro「logistello」(自動定石学習法、パターン学習法など)
- 世界チャンピオン村上氏に6戦全勝
- もっと早く対戦していればいい勝負が見られたはずだが、拒否していたのでコンピュータが強くなり過ぎていた
- 2023年 Othello is solved 滝沢拓己(引き分け)
- オセロはAI開発が遅れていたが、現在は人間がAIから学ぶようになり棋力が伸びた
- 将棋
- 持ち駒再利用のルール(チェスライクゲームの中で唯一)
- divergence game(終盤に行くほど合法手が増える)
- 深い探索が困難
- 小駒が多い(桂馬、香車、銀、金など)
- 局面の微妙な違いを理解することが難しい
- 評価関数の設計が難しい
- 1970年代 黎明期
- 1974年 初のコンピュータ将棋プログラム(早稲田大学)
- 人工知能研究とは別に行われていた
- 研究というよりは「江戸時代の将棋指しが現代に蘇ったら」というシミュレーションのために書かれた
- 1979年 初のプログラム同士の対戦
- 大阪大学 VS 玉川大学
- ネットがなかったので電話でやり取りして終了まで2ヶ月かかった
- 当時は郵便で将棋をしていたりする
- 1974年 初のコンピュータ将棋プログラム(早稲田大学)
- 1980年代 萌芽期:PCの普及
- 初の市販プログラム、コンピュータ将棋協会設立
- 1900年代 成長期:探索技術の進歩
- 1990年 第1回コンピュータ将棋選手権
- 1990年代 アマチュア有段者レベルへ
- 詰め将棋の研究(探索技術の進歩)
- 2000年代 発展期: 機械学習の登場
- 2006年 Bonanzaの登場(評価関数の機械学習)
- 2007年 渡辺竜王 VS Bonanza Lose
- 2010年代 円熟期:人間のトップを超える
- 2010年 清水市代 VS あから2010 Win 合議アルゴリズム(伊藤先生考案)
- 2012年 第1回電王戦 米長邦夫永世棋聖 VS ボンクラーズ Win
- 2013年 第2回電王戦 プロ棋士5名 VS コンピュータ5台(3勝1敗1分)
- 2015年 情報処理学会「コンピュータ将棋プロジェクト」終了宣言
- 事実上人間を超えた
- 2016年 山崎隆之九段 VS Ponanza(2連勝)
- 2017年 佐藤天彦名人 VS Ponanza(2連勝)
- 2020年代
- 2022年 世界コンピュータ将棋選手権 dlShogi優勝(深層学習)
- 2023年 世界コンピュータ将棋選手権 dlShogi優勝 連覇
- 2024年 世界コンピュータ将棋選手権 お前、CSA会員にならねーか?(探索手法の復権)
- 2025年 世界コンピュータ将棋選手権 水匠(探索手法+知識蒸留)
- コンピュータが人間を上回ると開発は下火になりがちだが、将棋では今も開発が続いている
- 持ち駒再利用のルール(チェスライクゲームの中で唯一)
- 囲碁
- 1960年代
- 1962年 初の論文
- 囲碁の好手、悪手に関する研究
- 1964年 小路盤の解析
- 1968年 初のプログラム(Zobrist) 38級程度(存在しないレベルで弱い)
- 1962年 初の論文
- 1970年代
- 1972年 影響力関数
- 石の生死判定アルゴリズム
- 1979年 Reitman & Wilcoxのプログラム 15級程度
- 攻撃と防御の基本的戦略
- 連と群の階層パターン
- 1980年代
- 囲碁の複雑さに関する研究
- 囲碁の難しさを数学的に証明
- 多項式空間困難
- 囲碁の難しさを数学的に証明
- 1984年 初のコンピュータ囲碁大会 ロンドン、13路盤
- 1986–2000年 19路盤で初のコンピュータ囲碁大会 台北
- ある程度の強さのプログラムの出現(5〜10級程度)
- Many Faces of Go, Go Intellect, Goliath
- 商用プログラムの出現
- 囲碁の複雑さに関する研究
- 1990年代
- 新たなAI技術の適用 機械学習
- ニューラルネットワーク
- 1993年 モンテカルロ碁
- 1993年 認知科学的研究
- 組み合わせゲーム理論を用いた囲碁の数理的解析
- 日本棋院が級位認定
- 1995年 5級
- 1997年 3級
- 日本棋院が級位認定
- 2000年代
- 2001年 囲碁プログラムに初の初段認定
- 実施は5級くらい
- コンピュータによる小路盤の解析
- 2006年 モンテカルロ革命
- 2006年 9路盤で大活躍
- 2007年 19路盤でも活躍
- 岐阜チャレンジ
- 岐阜県庁裏金問題のあおりで中止
- 2007年
- 第1回UEC杯「Crazy Stone」優勝
- 2008年
- 8月7日 MoGoが韓国のプロ棋士金明完に9子局で勝利
- 9月4日 Crazy Stoneが青葉かおり4段に8子局で勝利
- 12月 第2回UEC杯 Crazy Stone連覇
- 2009年
- 第3回 UEC杯 「KCC囲碁」優勝
- エキシビション(6子) コウ VS KCC囲碁
- コウは自身も開発者
- 2001年 囲碁プログラムに初の初段認定
- 2010年代
- 2010年
- 第4回 UEC杯 「Fuego」優勝
- エキシビション(6子) コウ(Win) VS Fuego
- 2011年
- 第5回 UEC杯「Zen」優勝
- エキシビション(6子) コウ VS Zen(Win)
- 2016年 アルファ碁(ディープラーニング)の衝撃
- 人間から見て理解できない手で勝利
- 2016年 李世ドル VS アルファ碁 4勝1敗
- 2017年 柯潔 VS アルファ碁 3勝0敗
- 2010年
- 1960年代
- チェッカー
- 研究の題材として扱いやすい
二人完全情報確定ゼロ和ゲーム
- チェスなどのゲームは「二人完全情報確定ゼロ和ゲーム」と分類される
- 特徴
- 先手後手、すべての合法手がお互いにわかっている
- ゲーム木という形で、ゲームの問題空間を表現できる
- 有限ゲームであれば、必勝法が存在する
- 必勝法がわかる↔︎ゲームを解く
- ゲーム木で最善手をすべて辿って勝敗を確定する
- 探索空間が膨大なのでコンピュータでもなかなか解けない
- 必勝法がわかる↔︎ゲームを解く
- 三目並べ
- 初手は3通り
- 中央が最善手であるのは評価関数で判別可能
- 4方向に揃えられる
- 両者が最善を尽くすと引き分けになる
- 探索空間が狭いのである程度遊ぶ(調べる)と結果が見える
- 深みがなく、つまらない
- 初手は3通り
- 五目並べ(連珠)
- 禁じ手なしだと先手必勝
- オセロ
- 引き分けになることが判明
- チェス
- かなり先手有利→先手後手1セットで対戦
- 先手は勝ちを目指し、後手は引き分けを目指す
- 将棋
- やや先手有利(先手勝率 .530)
- コンピュータ将棋では7割くらい先手が勝っている
- 始まる前から勝率は先手有利になるが、見ている人が醒めるので補正をかけている
- それが本当に良いかどうかは議論がある
- 囲碁
- コミ6目半でバランスをとる
- ゲームの難しさと探索空間
- 平均合法手(N)と平均終了手数(M)でゲームの複雑さが概算できる
- チェッカー 10の30乗
- オセロ 10の60乗
- チェス 10の120乗
- 将棋 10の220乗
- 囲碁 10の360乗
- 平均合法手(N)と平均終了手数(M)でゲームの複雑さが概算できる
- 評価関数
- 将棋の場合
- 駒の価値
- 駒自体
- 成った後の駒
- 付加価値(自駒にした時の価値)
- 駒の効率
- 飛、角の自由度
- 駒の位置
- 駒の配置の良さ
- 局面の進行度
- 序盤は駒組を優先、駒の損得重視
- 中盤は駒の損得、敵陣に成りこむ
- 終盤は敵玉にどれだけ早く迫るか?自玉の安全度
- 駒の価値
- 将棋の場合
- ゲーム木探索の目標
- いかに深くたくさん読むか
- 一手深く読むとレーティングが約200上がる
- いかに正確な評価関数を設計するか
- 評価関数が正確であれば読まなくても良い?
- 探索の高速化と評価関数の設計がゲーム木探索AIの両輪
- ミニマックス法
- アルファベータ法
- ムーブオーダリング
- 枝刈りを効率化する手法
- 良さそうな手を選べればそれ以降の探索を省ける
- ムーブオーダリング
- いかに深くたくさん読むか
- 評価関数の機械学習: Bonanza Method
- 最大(小)化問題として力学系の最適制御理論を用いる
- tを手数、xを局面、uを特徴ベクトルとみなして機械学習
- 棋譜の指し手とミニマックス探索がよく一致する特徴ベクトル(評価関数)を求める
- 棋譜中で選択された手を最良として、その他の手を教師信号より小さくする学習を行う
- 以前はトッププレーヤーの教師あり学習だったが、現在は教師なし学習になっている
- コンピュータ囲碁の難しさ
- 合法手が多い
- ゲーム木探索ができない
- 静的評価関数の設計の難しさ
- 石の強さ、意味の理解の難しさ
- 石の活き死に判定の難しさ
- 良い手が広い
- 将棋は悪手を一手打つと致命的
- 合法手が多い
- モンテカルロ法以前の基本構造
- 人間が考えていることを模倣
- 囲碁に強い開発者が必要
-
- 盤面認識
-
- 候補手生成
-
- 着手の決定
- 2大技術
- モンテカルロ木探索(2006年頃〜)
- モンテカルロ法(乱数シミュレーションの繰り返しで近似解を求める計算手法)
- 原始モンテカルロ法
- 乱数シミュレーション対局を大量に行い最も勝率の高い手を選択する
- これだけでは強くならなかった
- 多腕バンディット問題
- どれがよく出るかわからないスロットマシンが複数台ある時、どのスロットマシンにどれだけコインを費やすか?
- 計算資源の効率化
- 最適化計算
- UCB(Upper Confidence Bound)の値を計算し、最も大きい値のものを試す
- 期待値が高いものと、まだあまり試してないものをいかに選ぶか
- モンテカルロ+UCT=モンテカルロ木探索
- どの手をどれだけ調べるべきか→N腕バンディット問題
- この最適解を求める方法→UCB
- プレイアウトの回数がある程度以上増えたら、子ノードを展開→擬似的な木探索
- 計算資源をうまく使う方法+シミュレーションの質を高める方法
- 乱数は無駄が多いので、良さそうな手を選びたい
- 評価関数を持たないのに、擬似的にゲーム木探索のような探索を実現
- 原始モンテカルロ法
- 複雑な評価関数の設計が不要
- 膨大なプレーアウトと勝率計算のみ
- 並列化が容易
- 並列化の効果が非常に出やすい
- フランスの当時の並列計算奨励の成果
- モンテカルロ法(乱数シミュレーションの繰り返しで近似解を求める計算手法)
- 深層強化学習(2016年頃〜)
- 2014〜2015年頃に関連研究が発表されていた
- ディープラーニングでプロ棋士の手を予測するシステムを作る
- 3×3など小さい局面では行われていたが、それを19×19でやったのがアルファ碁の衝撃
- アルファ碁の技術
- 手の予測器→プレイアウトの質を高める
- Policy network PN-SL 13層のネットワークを構築
- 第一段階 SL: Supervised Learning
- 強化学習→評価関数の構築
- Policy network PN-RL
- 第二段階 RL: Reinforcement Learning
- 評価関数の学習→評価関数の構築
- Value network VN
- これができるとは思われていなかった
- 第三段階 強化学習を用いた局面勝率の学習
- Value network VN
- モンテカルロ探索との融合
- 探索部: PNとVNを用いた探索
- 2017年 AlphaGo Zero
- 超多層(40層)でモンテカルロを成長の種として自己対戦による強化学習
- MCTS
- プロ棋士の学習データなしでAlpha Goを超えた
- 囲碁だけでなく将棋やチェスなどにも応用の可能性
- 超多層(40層)でモンテカルロを成長の種として自己対戦による強化学習
- 2019年 Mu Zero
- ルールすら知らない状態から人間を超える
- 汎用ゲームAI
- 手の予測器→プレイアウトの質を高める
- 2014〜2015年頃に関連研究が発表されていた
- モンテカルロ木探索(2006年頃〜)
- Alpha Goの技術と応用
- Deep Learningの手法で人間らしい「直観」を手に入れた
- 人間しかできないと思われていた高度な認識や判断を行える可能性
- 自動運転、医療診断、専門的判断など
- ゲームAIの3つの勝利
- 探索で人間を超える(チェス、チェッカー、オセロ)
- 探索+機械学習で人間を超える(将棋)
- MCTS+DNNで人間を超える(囲碁+α)
- 今後の課題
- DNNの応用範囲
- 不完全情報ゲーム、不確定ゲーム、コミュニケーションゲーム
- 人工知能 VS 人間
- ゲームの面白さを奪う?
- 人間の知を上回るAIの思考がわかるか?託せるか?
- 人工知能が仕事を奪うか?
- DNNの応用範囲
ゲームAIと人間の関係
- ゲーム研究の展望
- アシスタンスジレンマ
- 支援が強いと学習時の成績はよくなるが、強すぎると頼りすぎて学習効果が減衰する
- AIでなくても同じ
- 将棋において1手先、5手先、9手先を教えたら学習前後の成績の伸びは9手先が一番良かった
- 1手先は逆に成績が下がった
- 自分で考えるネタを適度に与えるのが良い
- 適度な支援レベルだと学習効果が高くなる
- 支援が強いと学習時の成績はよくなるが、強すぎると頼りすぎて学習効果が減衰する
- 将棋AIが人間の思考に与える影響
- プロ棋士はAIを使って研究している
- 実際に影響を与えられているかどうかを定量的に分析
- 囲碁では韓国人が徴兵期間を利用してAlpha Go登場前後で比較
- AIとの着手一致率
- 条件的平均損失
- 人間の知とは何か?
- 賢いとか?知能とは?
- 弱いAI
- Deep Blueはチェスがどういうゲームかも理解せずただひたすらに探索して答えを出す
- 強いAI
- 現実についてのモデルを持ち、理解する能力を持つこと
- まだ実現されていない
- Mu Zeroは近づいていると言えるかもしれない
人間を超えたゲームAIから学ぶAIとの接し方
- 拒否反応
- 仕事が奪われる、人間の存在意義
- 解かれたかり人間を上回ったからといってゲームがなくなる訳ではない
- 受け入れから共存
- AIと人間の分業
- AIから学ぶ
- AIによる知の拡張
- 医療技術はロボットによってスキルが上がった
- 別の次元へ
- AIができることはやらない
- AIと協力してより高みへ
- 2045年問題
- 人間の行う知的作業のほとんどはAIにとって代わる
- シンギュラリティ(技術的特異点)
- どうやって向き合っていくのか